ちょっと書くから

ためにもあてにもならないブログです

男性の性被害を考える『蘇る魚たち』のYouTubeを見た

東京新聞の記事で『蘇る魚たち』という舞台を知る。

ジャニーズの影響で関心が高まる「男性の性被害」問題 舞台「蘇る魚たち」の動画を無料公開:東京新聞 TOKYO Web

2023年7月15日まで無料公開中なので、興味がある方はYouTubeへ。

 

この舞台は、父親からの性的虐待を受けていた男性2人を軸に話が進んでいく。

登場人物は熱帯魚ショップで働く森田ノゾミ、週刊誌記者の沢井コースケ、コースケの弟で料理屋で働く沢井リオ。

ノゾミ、コースケとリオは腹違いの兄弟。

ネタバレするのは嫌なので、感想だけ書く。

 

▶以下、感想

性的な被害を受けると、大人になってもその傷はずっと残るし、そこに男だから女だからは一切関係がないなと改めて思った。

男性から男性への性的な暴力、セクシャルハラスメントは同性ゆえなのか、軽んじられる傾向が強い。「男らしさ」や「男のくせに」で口を塞がれてしまうこともある。

被害を訴えようにも自分の父親が相手だから、偏見や思い込みで「気のせいじゃない?考えすぎじゃない?実の息子にそんなことする?そもそも男同士なのにありえない」と一蹴されて、考えてすらもらえない。

父親が息子の体を性的な目的で触る、フェラチオさせる、レイプする、どの行為も最低最悪な犯罪行為なのに、矮小化されてしまったり笑いのネタにされてしまったり、「そんな傷つけるようなことをノゾミやコースケになんで言うんだよ!!」と、もどかしさを強く感じた。

リオの立ち位置も重要で、彼がいるからこそ『同性から性暴力を受けていない人』と『父親から性被害を受けた兄のいる弟』の目線を知ることができる。

ノゾミとコースケは、父親に性暴力を受けていた面では共通しているが、どのような行為をされていたかには違いがある。

被害には重軽も高低もないのだけれど、リオがコースケとノゾミを比べて発言してしまうところがリアルだった……。もちろんリオには悪意も悪気もない(からこそノゾミとコースケを傷つける)

それぞれの立場の考え方と感じ方がていねいに描かれているので、誰の視点に立っても共感できるところがあるんじゃないかなと思う。

性被害を受けた人の心の中には、ノゾミもコースケもリオもいる。誰が一番全面に出てくるかの違いだけで。

あと家族とは?男とは?父親とは?マスメディアとは?教育とは?といろいろ考えさせられるトピックがふんだんに入っているので、2回目3回目と見るのもいいかもしれない。